インビクタスは、今春公開されたクリント・イーストウッド監督、モーガン・フリーマン主演の映画。
原作をもとにフリーマン自身が脚本を書き、あのイーストウッドに監督を依頼したと聞けば、フリーマンがいかに惚れ込んでいたかが伺える。
この春の封切り時には映画館では見られず、DVDの発売を待ちわびていた。
記憶が途切れそうになった上海からの帰路、機内で観る機会に恵まれたのに、フライト時間が短すぎて途中で終わってしまった経緯がある。
ネルソン・マンデラ。
アパルトヘイト、人種隔離政策に反対して行動を起こし逮捕され27年間の監獄生活に耐えた南アフリカ共和国の活動家。
ボクは80年代に初めて、アパルトヘイトという言葉を聞き、そして知った。
人種差別も、そしてもっと残酷な、黒人と白人を隔離する。
居住からすべて別々の空間で生活させることをいう。
この映画の冒頭で、頑丈な柵に囲まれた芝生で白人たちがラグビーを練習するエリアの道路を隔てた反対側では、粗末な場所で黒人の少年たちがサッカーに興じているシーンなどは隔離政策の象徴だ。
アラバマ州、ミシシッピー州など南部アメリカでも60年代までは、バスの座席、公園のベンチなどに「白」、「色付き」と書かれた看板が実際にあり、事実上の隔離政策が存在している。
日本でも、人種問題とは異なるがハンセン氏病の患者さんに対し強制隔離を行った負の遺産がある。
80年代半ば、ポール・サイモンが、世界で経済的制裁を受けていた南アへ渡り、現地のミュージシャンたちと作り上げたグレースランドがグラミー賞を受賞し、初めてアパルトヘイトなるものをボクは知った。
その頃、ゴルファーの青木功が、南アでのゴルフ世界選手権に出場すると表明すると、外務省は遠まわしに彼に対し非難するようなコメントをしていたが、
日本企業が南アと貿易をしていた事実を大きな声で言わない日本国やメディアには失望したな。
さて、そのアパルトヘイト下の南ア。
27年の獄中から開放されたマンデラさんが多くの、そして大きな課題を背負って大統領に就任。
映画は、マンデラ氏が釈放され、大統領になり、国をどのようにまとめるのか、厳しい時代に臨むところから始まる。
そして、マンデラさん、南アフリカでラグビーのワールドカップが開催されるのを機に、この大会をアパルトヘイト撤廃後の民族融和の祭典として位置づけた。
史実に基づいた事実を映画化。
ボクにはもうこれで十分だ。
そして、偶然というか、神々しいというか、南アは優勝した。
映画はラグビーシーンを多彩に盛り込んで終わる。
スクラムを組み、球出しが早いときは問題ないが、
スクラムの押し合いになると、途中で酸欠になり、意識が遠のくことさえある。
フロントは前から押され、後ろから押され、力を抜いたら背骨が折れそうなくらいだ。
ラストは強豪ニュージーランド・オールブラックスとのマッチプレーに時間を費やされている。
ラグビーを知らない人には??? どう映るのかな、、、余計な心配をしてしまう。
この大会で、日本はオールブラックスから100点以上も取られ、屈辱的な敗れ方をしている。
押す。倒す。タックルする。
この恐怖感を、昔を思い出して涙が止まらなかったな。
ALL FOR ONE
ONE FOR ALL
こういう言葉がある。ラグビーの精神でもある。
これはラグビー映画でも、スポーツ映画でもない。
また政治や社会のあり方を訴えるものでもない。
人間の尊厳を、強さ、弱さを、考えされる魂の映画でもある。
「融和」を簡単に言葉で表すことはできるが、実行するには並大抵の精神力では叶わぬ。
魂の存在を認め、寛容な精神があってこそリーダーたるゆえんであろう。
もう一度観たい。
そして、ビジネスマンにも観てもらいたいと願う。
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