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見慣れていく風景



理科は苦手だった。

だから、というわけではないけど、花の名前は多くは知らない。

星座もしかり。

今はなき渋谷駅前にあったプラネタリウムでは居眠りして先生に叱られた。

でも、立花隆氏の「宇宙からの帰還」には星座のことはあまり出てこず、何ども読んだ。

理解できない夜空も毎日眺めていると、少しずつ星の位置の違いがわかってくる。

そこに好奇心の原点があった。

 

日常の風景が見慣れてしまうと、記憶に刷り込まれるだけで、単なる事象となり感激が薄れるのがわかる。

見慣れるというより、好奇心への薄れが発生しているといったほうが正しい。

そこに存在するのは当たり前の事象で、自分には無関係だと認識してしまう。

この無関係を意識的に関係性へ置き換えると、無味無臭の生活感に一筋の光がやどる。

それが好奇心へのきっかけであろう。

 

ホームから見える線路に草が生いしげる。

東京にはない風景だ。

初めてここへ来たころは、なぜか放射能汚染の意識からは遠く、自然が新鮮に映り、

自分の存在などどうでもいいのだと思うこともあった。

今もそう変わらないが。

人間の意識とは無関係に、確実に変化する自然の摂理が小さな世界にもあったからだ。

 

昨日は、この高さまであった草は雨で身長を伸ばし、小さな花に囲まれている。

ポイントそばにあった黄色い花は、今朝は萎れて、いまにも地に帰ろうとしている。

風が吹いて、雨が降って、陽があたって、夜になって、、、、

微妙に立ち位置や表現を変えている。

 

見慣れている風景にも変化が存在する。

変化への意図的な介入が好奇心といってもいい。

 

自然界で絶対的なのは光の速さだけと言われている。

でも、絶対なんて存在しなくても、人が愛でる美しい自然さは、

相対であってもその人にとっては絶対なのかもしれない。

 

企業の再建とい重い仕事で福島に滞在する時間が長くなっている。

再生案件は好奇心がなければ出来ないと思っている。

なぜなら、企業が存在するコアは、机上の理念ではなく、人間の存在によって成り立つ。

人間への関わりを拒否することはできない。

好奇心させあれば人間との関わりは存続できる。

 

そこに疲れが存在しても、いっときのこと。

そこから逃げたら前には進まない。

だから侵食を忘れて取り組めるのだと思う。

 

見慣れた風景の中に、好奇心を蘇られせる原風景の存在を感じた。

 

 



 

コメント
「見慣れてしまう」ということは、私たちの日常ではよくあること。
でも同じように見えるものも、たえず同じ状態ではなく、1秒…1分…・
そして1日と、たえず変化していて、それは同じものではないんですよね。
(ゆく河の流れは絶えずして、しかも同じ水にあらず・・・と同じですね!)
でも私たちは、同じであると思いこんでしまう、そしてこの当たり前の日常
がどこまでも続くような錯覚をおこしてしまう。


今回の震災で当たり前の日常というのは、なんとも脆い上に成り立って
いるということを改めて感じました。
そうなってくると、大切なのは、自分がこの瞬間に何を感じ、その出会い
に真剣にどう向き合えるか、なのかもしれませんね。
今を感じる感受性(好奇心)が、これが一番大切なのかも。
その積み重ねが、自分の未来へとつながっていくことかもしれませんね。


ふと、谷川俊太郎さんの詩を思い出しました。


中学校の教科書に載っていて、ずっと前から知っているはずなのに、
震災の後に読むと、とっても新鮮な気がしました。


生きる


生きているということ
今生きているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみをすること
あなたと手をつなぐこと


生きているということ
いま生きているということ
それはミニスカート
それはプラネタリウム
それはヨハン・シュトラウス
それはピカソ
それはアルプス
すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと


生きているということ
いま生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ


生きているということ
いま生きているということ

いま遠くで犬が吠えるということ
いま地球が廻っているということ
いまどこかで産声があがるということ
いまどこかで兵士が傷つくということ
いまぶらんこがゆれているということ
いまいまが過ぎていくこと


生きているということ
いま生きているということ
鳥ははばたくということ
海はとどろくということ
かたつむりははうということ
人は愛するということ
あなたの手のぬくみ
いのちということ
  • uri
  • 2011/10/17 1:38 PM
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