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チック・コリア

 

 

 

ここは多摩川の河口、羽田です。今日も25キロを自転車で来ました。昔、河口はもっと上流にありました。その後、京浜工業地帯や羽田空港が河口の東西に計画され、その地はやがて埋め立てられ、現在の付近になったのです。引き潮になると浅瀬が現れ、蜆やアサリ漁をする人が多くなります。鳥たちもやがてどこからともなくやってきて、貝や魚を低空で探し出します。カモメも姿を現します。猫餌を持参していて、空中に放り投げたら寄って来ました。港町では群れをなしているカモメも、東京では人間と同様に孤独なのか、やや遠慮がちに、そして自由に空を謳歌しています。

 

カモメの写真を見ていると、羽田といえば飛行機!、竹芝といえば船!というように、ボクは殆ど反射的にチック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエバー」のジャケットを思い起こします。チック・コリアというキーボードプレイヤーを知ったのは1968年のこと。ラテン系の人で、ラテン音楽で育ったミュージッシャンのようですが、その頃のチックをボクは知りません。マイルス・デイヴィスをずっと聞いていたので、マイルス1968年録音の『イン・ア・サイレント・ウェイ』、70年録音の名盤『ビッチェズ・ブリュー』にチックがクレジットされていることで、初めてキーボードプレイヤーであることを知りました。ピアニストで表記されることもありますが、この時点ではアコースティックピアノの演奏を聴いてはおらず、最初から電気ピアノのプレイを聞いていたせいもあります。68年から70年にかけてのマイルスの作品は、電気化されたサウンドが中心で、バップやビーバップ、モード奏法は過去のもので、常に新しい音楽を作りかけていた時代ですから、どちらかというと、ガンガンと突っ走るいわばロックに近いサウンドでしたので、チックのキーボードが美しいとかリズムに特徴があるとかではなく、この時代のスイング感が適度に電気化されたピアノから響き渡り、ロックのノリとは異なるリズムの心地良さが印象的でした。

 

その後、マイルスのバンドを卒業し、スタンリー・クラーク(ベース)、ジョー・ファレル(テナーサックス)、アイアート・モレイラ(ドラム)、フローラ・プリム(ヴォーカル)らで、リターン・トゥ・フォーエバーを結成します。

RETURN TO FOREVER

 

 電気ピアノはアコースティックのピアノのサウンドとはまったく違います。ただ辛いだけの焼酎からコクと旨味を加えたような、キーの音の響きに鋭さを削り取った優しさが伝わってくるのです。このサウンドは日本で大当たり。70年代の初期は何度も来日してコンサートをチックは演ってました。こうなってくると、チックのサウンドは電気ピアノとイコールになります。しかし、売れてくると、昔の音楽が聞きたくなるのがボクの性格。探してみるとありました。アコースティックのピアノを弾く、チック・コリア。「Now He Sings, Now He Sobs」。名手ミロスラフ・ヴィトウスのベースにロイ・ヘインズのパワフルなドラムのトリオでの演奏。驚きましたね〜、ピアノのテクは。しかし、すでに電気ピアノのチックのサウンドを知ってるがために、素直にアコースティックの音には入り込めないのです。その後、ハービー・ハンコックとのデュオやソロも聞きましたけど、やはり彼の音は電化されたサウンドが素晴らしいように思います。何年たっても、カモメを見たらチックを思い起こす反射はなくなりそうもありません。




 


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