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自転車のまち オランダ・アムステルダムをゆく

 



この夏のFIFAワールドカップはスペインの初優勝で幕を閉じた。

大方の予想はオランダだったのに。

決勝までいくのに勝てないオランダ。

優勝していたらアムス市内はそこいら中、Proost!(乾杯)が響きわたったろうに。

 

そのアムスに僕たちは昨年の夏滞在していた。

文楽のオランダ公演で、制作サイドはパリで仕事を終えてからのアムス入り。

 

パリとは異質空間のアムス市内。

帰国するとき、もう少しここに居たいと思ったな。

 

滞在期間中、ホテルと公演会場の往復はほとんどバスでの移動。

それでも午前中の空いた時間に、何度か自転車を借りて、市内を走った。

いいですね、この町での自転車は。

 

車道と歩道、自転車道が分けられていて、とても走りやすい。

たまに、異邦人がその勝手を知らずに自転車道を歩いて、何度かベルを鳴らされたこともあったけど。

 

そう、この町は車より自転車が生かされている町です。

 

 

それから1年。

その時、通訳で世話になった濱野貴子女史より、本が送られてきた。

帰国の際空港で、本を書いてますから、出来上がったら連絡します!って言ってたっけ。

それが完成したんだ。

 

 

「自転車のまち オランダ・アムステルダムをゆく」

 

そうか、やっぱり自転車だったか。

 

ホテルに迎えに来たバスに僕たちが乗り込むと、彼女はバスに乗らなかったな。

どの国に行っても通訳さんは同情するのが普通。

「帰りは時間が見えないので、自転車で行きますので会場へ先にお入りください」

移動する車窓から、彼女がペダルを踏んでアムスの市内を疾走する爽やかな姿を目にした。

 

ほとんどの車道が一車線だから、飛ばす車も少ない市内。

自転車でも十分追いつける環境だからこそできる。

 

そう、オランダは自転車王国なのですよ。

 








オランダ。

チューリップ、チーズ、木靴…、

そういった有名なものがたくさんあり、文献でも、また映像でも紹介されている。

でも、自転車の町のことが書かれた本はお目にかかったことがない。

 

 

濱野さんの仕事ぶりはテキパキしていて、こちらの仕事がとてもやりやすかった。

業務的な通訳ならまだしも、文楽そのものの解説、

人形、大夫、三味線、いわゆる三業をオランダの人たちに伝えるのは難しい作業。

 

三味線の鶴澤燕三さんが文楽三味線を解説する時、

ふだん燕三さんは、「向こうから人が歩いていてくるシーンでは、、、」と女優さんを引き合いに出すことがある。

そこを彼女の提案でオランダの有名女優んしいて、会場から拍手をもらったときなど、そのタイミングといい、訳し方といい、

やはり6年も7年も住んでいるからこそできるもの、またそれ以上に真摯に取り組む姿勢があればこそ、と思う。

 

 

さて、この本は、そういった彼女がオランダを、自転車を通して見た写真付きのエッセイである。

その写真も、とてもきれいで、美術を志す、

またイラストも描ける技術を持ち合わせているせいか、写真の構成もいい。

かといってアートを意識し過ぎず、誰にでも楽しめる構成が実にいい。

 

 

オランダは長崎の出島で貿易を始めた、日本でも古い友好国。

歴史的な視点も書かれ、お店の紹介はミーハー的になりがちな文章が時に感情が抑えられクールに、

そして人間性の深い素直な視点でものを見る姿勢が、知的好奇心を刺激する。

 

文章も分かりやすく、仕事に関係なく、再びアムス市内で自転車を走らせたい思いが湧いてくる。

 

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濱野貴子さん[ハマノタカコ]

立教大学社会学部を卒業後、渡蘭。アムステルダムにて美術を学び、その後オランダを拠点として現代美術作家活動や他の文化活動等にとりくみ現在に至る。また、アーティスト・イン・レジデンスなどを通じて日本での活動にも力を注いでいる。現在アムステルダム在住。

 

彼女よりメッセージ
「自転車のまち オランダ・アムステルダムをゆく(ISBN 9784863110434)」
「MIRRORED MEMORIES (ISBN 9789081287425)」は2009年にオランダライデンにあるシーボルトハウスより出版されたアートブックです。ニューヨークMoMAのライブラリーコレクションにも入り、主にオランダのideabooksを通じて世界各国の書店等でもお求めいただけるようになりました。

オランダ:アムステルダムのBoekie Woekieという書店にて閲覧可能。ネット注文はVAN STOCKUMなどから。
日本:東京恵比寿のナッディッフアパートという書店にて閲覧可能。取り寄せ注文はideabooksとつながりのある本屋さんトレヒト、青山ブックセンター、恵文社などから。(その際にはタイトル、ISBNナンバーとオランダideabooks取り扱いの旨お伝え下さい。)
米国:ニューヨークMoMA内のブックショップ、MOMA Design and Book Storeにて販売中。
その他の地域の流通情報等はideabooksへ直接お問い合わせいただけます。
http://www.ideabooks.nl/index.php



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公演した会場、ミュージック・ヘボウ。
対岸から見た姿は自分にとっても新鮮。



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