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映画「冥途の飛脚」

 



これは、カナダ人であるマーティ・グロスが1979年に制作、監督した映画である。

 

文楽の世話もので人気の高い作品。

飛脚問屋の忠兵衛が馴染みの傾城梅川に思い入れ、武家に届ける為替金に手をつけてしまう。

逃げた忠兵衛と梅川は、忠兵衛の生まれ故郷で新口村へ向かい、ついには捕えられてしまう。

近松門左衛門作の本曲、舞台では新口村へ逃げる途中の「道行相合かご」で止めることが多い。

 

近松亡き後には手を加えられたのが「新口村」。

親子の情愛が描かれ、単独で上演されている。

歌舞伎化したものとして「恋飛脚大和往来」がある。

 

この映画では、「冥途の飛脚」と歌舞伎の「恋飛脚大和往来」を三部作としてまとめ、

1時間半程度にまとめられている。

文楽に係ると躊躇われてしまうだろう箇所も、大胆にカットされている。

初めて見る人にはかえって物語がわかりやすいかもしれない。

 

出演者では、大夫が現在の綱大夫師、住大夫師が参加し、封印切では故越路大夫師が語るという伝説的なもの。

三味線は、先代の錦糸師、燕三師、そして清治師匠という人間国宝がズラリ。

人形も、忠兵衛の故玉男師、梅川の簔助師、先代勘十郎師、文雀師という人間国宝。

紋寿師に加え、故人となった文吾師、一暢師、玉幸師など、見ていて懐かしさのほうが先に立つ。

 

スクリーンでの人形の表情は何度か見ているが、

過度のズームを使わずとも、舞台上で人形はイキイキとしている。

 

30年前に日本で制作されたにもかかわらず、日本では公開されなかった理由に、

たぶん日本では集客ができない、というのは妙に納得。

 

いまでこそ、東京では満席になる日も多いが、その頃はといえば、空席多く悲しい情景があったな。

 

それでも、公開されただけでもウレしい。

国内には、撮影が終わっているにもかかわらずお蔵入りの文楽映画もあるのだから。

 

いろいろな意味で観てほしい映画でもある。

 

 

/東京都写真美術館/

 

 








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